

教育とは何か、そしてそれは、どのようにあれば「よい」といいうるか。
本書で私は、この問いにできるだけ広範かつ深い共通了解を得られるような、「答え」を提示したいと思う
実は現代教育学の世界では、この問いに絶対的な答えを見出すことは不可能である、ということが、半ば常識となっている。学問の世界だけでなく、今日おそらく多くの人たちが、絶対に正しいことなんてあり得ない、と考えていることだろう。そしてそれは、確かにその通りだというほかない。万人にとって絶対に「よい」「正しい」教育を、私たちは完全に決定してしまうことなどできない。(略)
しかし、子どもたちの教育にかかわるすべての人たちにとって、そして教育を考え構想するすべての人たちにとって、そもそも教育とは何か、そしてそれはどうあれば「よい」といいうるか、という問いは、常に切実な問いとして突きつけられているものである。そうである以上、私たちは何らかの方法でこの問いを考え、そして何らかの形でこれに「答え」を出す必要がある。
本書の目的は、この「答え」を明示することである。
(苫野一徳「序章」より)




